「学校音楽教育におけるコダーイ・アプローチ」をテーマとする、日本コダーイ協会主催オンライン講座のご案内いたします。11月25日(土)と来年2月12日(祝)に、ジェームズ・カスケリー先生を講師にお迎えし2回完結で「コダーイ・コンセプト」による音楽授業の実践講座を実施いたします。
カスケリー先生は、幼稚園・小学校・中等学校・大学で教鞭をとる一方、国内外での音楽教員研修、児童から社会人の合唱団の指導に携わってきたという稀有な経歴の持ち主で、あらゆる年齢と能力の生徒を熱中させ、効果的な学習をもたらす手腕をお持ちでいらっしゃいます。
第1回は、受講者は各年齢や習得レベルの段階の生徒になったつもりで、カスケリー先生の授業を受け、「音楽の理解に基づく楽しさ」が何によってもたらされるのかを体験的に学びます。第2回は「美しく音楽的なレッスン・プランニング」の理論と実践について具体的な指導事例に基づいて学びます。
コダーイ・ゾルターン(1882-1967)は「音楽を全ての人のために」を提唱し、世界が注目する学校教育の体系を作りました。日本の公教育の指針である学習指導要領(ナショナル・カリキュラム)では「音楽的な見方・考え方ができる能力の育成」を目標に掲げ、小学校教育のスタートを「移動ド唱法を用いた相対的音程感覚の育成」と規定しています。
しかしながら実際はうまくいっていません。なぜなら、学校音楽教科書が事実上「固定ド一辺倒」になっているからです。教科書は子どもたちに「ハ長調」の旋律だけを「ドレミ」で歌わせるので、音高と音程を混同させ、相対音感の形成を妨げます。ドは「移動」してこそ、そして「音名」と対で認識するからこそ意味があります。3年生のリコーダーの学習ではG音、A音を吹く指使いを「ソ」の指づかい、「ラ」の指使いと説明されています。こうしてドレミは、完全に音名のシラブルに置き換わってしまい、移動ドは完全に退場させられてしまいます。
子どもたちは「ハ長調」「イ短調」をなんとなく耳にしているだけ、「ハ」や「イ」、「長調」「短調」とは何かを理解できないまま義務教育を卒業します。
音楽の読み書きの体系はロジカルです。コダーイ・アプローチはこの問題の解決に導きます。
ハンドサインは少し知っているけれど、それをどのように使えばいいのだろう?―そのようにお感じなっている先生方は多いのではないでしょうか。ハンドサインは「階名」です。「相対音感」を育成し、「身体と声と目」を使って「階名」と「音名」の違いを直観的に理解できる優れた方法です。
さて、AIで瞬時に外国語が翻訳できる時代ですが、1年生の国語科では声に出して音読し、手を動かして文字を書き、見たこと・考えたことを作文に書き、言葉という思考力の大元を確実に育てていきます。算数では子どもたちに最初に電卓の使い方を教えたりしません。九九を覚え、手を動かし頭を使って計算の仕組みを学びます。音楽科はどうでしょうか。「AIや電卓」は日進月歩ですが、今こそ公教育で「音感と音楽的思考力の基」を育て、一生ものの《音楽の読み書き=音楽のリテラシー》を子どもたちに授けましょう。公教育は幼児教育から始まっています。小学校1年生だけでなく学校教育のどの段階にもビギナーズたちがいます。子どもたちの身体と声と手と頭を使ってはじめの一歩をどう開始し継続していくのか、Dr. Cuskelly の講座で教授法(Methodology)のはじめの一歩を学び、音楽的で柔軟でクリエイティブな音楽教師である職業的充足感をともに味わっていきませんか。音楽の授業をお持ちの先生方、音楽教室の先生方、指導者のみなさまのご参加をお待ち申し上げます。
日本コダーイ協会理事、オンライン講座企画代表 尾見敦子
講座チラシのカスケリー先生お写真下のQRコードから申し込みができます。または、このURLをクリック(スマホからはタップ)するだけで、申し込みフォームに移動します。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScUwKZEt6YHD1p0fuK81YB7nI4mz4GZ-a5P6sUIhv5vTLhA8A/viewform
なお、お問い合わせはこちらにお願いいたします。sme.in.kodaly.approach@gmail.com