全国大会 in 福井 2018 を終えて

2018日本コダーイ協会全国大会 実行委員会より感謝を込めて

8月11~12日、福井県県民ホールにおいて『日本コダーイ協会全国大会 in 福井』が開催されました。

「音楽を愛するすべての人達へ」~コダーイ・メソッドの目指したものとは~と題し、コダーイ協会会員だけでなく、初めてコダーイに触れる方たちにもわかりやすくその理念をひもとき、共有し、深めることのできた2日間となりました。福井県内のみならず全国からお集まり下さった152名の参加者の皆様に深く御礼申し上げます。ハードなスケジュールをこなしてくださった分科会のマールタ先生、陣内先生、後藤先生。心に響く基調講演をして下さった中村会長。タイトな時間の中、中身の濃いお話をして下さったパネルディスカッションの小川先生、小山先生、木下先生、中村先生。素晴らしい演奏を聞かせてくださったチェロの荒井先生、ソプラノの川﨑さん、伴奏の加藤さん、仲谷さん。その他お世話になった皆々様に心より御礼申し上げます。先生方のおかげでもっともっと勉強したくなりました。また来年、今度は埼玉でお会いしましょう!

福井大会実行委員長 梅村憲子

公開レッスン(シャーロシ=サボー・マールタ先生 通訳:知念先生)

「げっくりかっくり」で賑やかに始まったマールタ先生の公開レッスン。音程のエネルギーや声部のかけ合いを意識してビチニアを歌ったあと、コダーイの「踊りの歌」では丁寧な響き作りの指導を見せて頂きました。レッスンの最後に子供達がハンガリー語で「踊りの歌」を通して歌ってくれましたが、とても清々しい演奏でした。締めくくりに大会参加者約200人でハイエスの「ハレルヤ」をカノンしました。ホール中に重厚な響きが鳴り渡る中で共に歌う喜びを実感したひと時となりました。わらべうたの楽しい遊びから始まり、ペンタトニックの世界を経て芸術作品へと繋がる、まさにコダーイの体系的な教育の縮図を見ているようでした。

(三輪)

分科会1《わらべうたコース》(後藤朋子先生)

分科会1わらべうたでは、まず、少人数の遊びから大人数のダイナミックな遊びまで、楽譜を見ずにわらべうた遊びそのものを肌で感じて遊んでみました。また、わらべうたを子どもたちに手渡す大人として、冷静な頭と確かな耳を持つために遊びの分析や音の構成、実際に子どもと遊んだ経験談、わらべうたの背景など、質問形式で話し合い、柔らかな雰囲気の中楽しい2日間を過ごしました。

(中山)

分科会2《コダーイ入門コース》(陣内直先生)

分科会2では合唱作品を歌うことによってコダーイメソッドを体験し、純正調の豊かな響きを作り上げていきました。各パートの動きや、階名の持つエネルギーや役割を考えながら歌うことで、豊かな響きが生まれ音楽が動き始めることを経験し、ソルミゼーション(移動ド)やハンドサインの意味と必要性を実感と共に認識することができました。なぜわらべ歌から始めなければならないのか、純正調で歌うための53分割表など、コダーイメソッドについて広く理解を深める有意義な時間となりました。陣内先生の指揮とハンドサインに導かれ、あっという間に豊かなハーモニーに包まれる体験は、歌う喜びを私たちに改めて感じさせてくれました。

(加藤)

陣内直先生作成、分科会②資料、無断転載禁止

分科会3《中上級コース》(マールタ先生 通訳:稲木先生)

分科会3は「音楽教育の基礎を築くのは学校である」というコダーイの言葉から始まりました。さらに、ペンタトニックについて古今の作曲家たちのペンタトニックへの愛とこだわり、ペンタトニックで鳴く鳥!ペンタトニックとは”何かが欠けた”音階なのではなく、その後の素晴らしい音楽世界への大切な入口であることなどなど、マールタ先生の長年の研究と経験に培われた理論と実践による貴重な講義は、今後の私たちの音楽活動に確固とした指針を示してくださるものでした。そして、私たちの拙い歌を伴奏して下さるマールタ先生の電子ピアノの多彩で表情豊かなこと!電子ピアノに対する認識も新たにした参加者も多かったのではないでしょうか。

(梅村)

パネルディスカッション(小川先生、小山先生、木下先生、中村先生)

2日目に行われたパネルディスカッションでは、4人のパネリストがそれぞれの教育現場でどのようにコダーイ・メソッドを実践されているかを報告頂きました。中村はるな氏は「音楽教室」、小山眞規子氏は「保育園」、木下喜子氏は「小学校」、小川昌文氏は「日本の学習指導要領とコダーイ・メソッドの考え方の違い」と「ベトナムでの現状と世界」におけるコダーイ・メソッドについてなど、実に興味深い発表となりました。それぞれの立場において、考え方の相違によりコダーイ・メソッドの導入はなかなか難しいものではあるが、こちらの考えを柔軟にして勇気を持って積極的に取り入れていくべきであるとの思いを強くした時間となりました。

(川﨑)

ヴァイオリン講座(シャーロシ・ジョルジュ先生)

全国大会でヴァイオリン部門が取り上げられたことは過去にあまり例がなく、弦楽の指導者から期待が寄せられていました。冒頭にジョルジュ先生の美しい音色のヴァイオリンで日本の子守唄のプレゼント。次に楽器を弾くために必要な身体の状態を作ること、楽器や弓の構造のこと、弾く準備としての遊びについてなど。モーツァルトのチョコレートを使って弓のバランスを考えて弾くという面白い場面も。さらに、様々なボーイングテクニックの遊びの紹介があり、最後にモーツァルトのMirror Canon(逆さカノン)を子供達と先生が素敵に演奏してくれました。ハンガリーにはジョルジュ先生のような弦楽の伝統を受け継ぐ素晴らしい指導者がたくさんおられます。もっと深く勉強したいと興味を掻き立てられた講座でした。

(坂本/九州地区会員)

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