移動ド・システムは固定音名を使うよりもっと明確で、より深く印象づけられるものである。それは相対的な音高だけでなく、音程感にそって各音の調的機能も示すものである。

「コダーイ・ゾルターンの教育思想と実践」中川弘一郎編・訳(1941年「音程を清潔にうたおう」)より

調性における各音の意味を明瞭に示し、形式をよりよく理解することが出来る。

「コダーイシステムとは何か」(「コダーイ・メソードによる音楽教育」p46)

「長調の基音が、たとえ五線の上でどこに行こうとも、ドであるということです。Es-durのドはes, G-durのドはgというふうに。こうして、直接に読譜という行為をこえて、調の性格トナリティーをもソルミゼーションによって表現することができます。従って、ソルミゼーションの方法には、二重の意味があります。

イ)種々の絶対音名を知る前に、先ず何でも視唱することができます。

ロ)調の性格を直ちに認識し、メロディーや楽曲の内的な特徴、特有性、和声的構造を理解することができる。」

「ソルフェージ教授法1」(著者のまえがき)セーニ・エルジェーベト著・羽仁協子訳