大会実行委員長 中村修治
今年度の全国大会は、8 月 24 日(土)25 日(日)の 2 日間にわたって立川市にある国 立音楽大学を会場にして開催し、180 名の参加者がありました。 大会のメインテーマは、「日本におけるコダーイ・メソッドの今までとこれから」で、 このもとにプログラムが組まれました。 大会は「所沢フィーニュ少年少女合唱団」のオープニング演奏で幕を開け、幼児から 青少年までの団員のそれぞれの出番があり、わらべうたから始めるコダーイ・メソッド を象徴するものでした。 このコンサート後は、我が国のコダーイ・メソッドの「今まで」を振り返る「リレー トーク」が設けられ、木村はるみ氏の「乳幼児教育」の実践、臼木恵二氏の「学校教育 (高校)」での実践、中村明美氏の「児童合唱」の取り組みが、中村隆夫会長の司会で進 行されました。 お三方とも対象の年齢や環境を鋭く把握し、そこから導き出された手段を独自に編み 出し、対象と向き合いピタリと重なって実践が進められたことが手に取るように理解で きる内容でした。これらの報告からコダーイ・メソッドは固定されたものではなく、日々 新たに自分のなかで創造されるものだと実感する場面でした。
午後からは 3 つの分科会に分かれて大会を進めました。 第 1 分会は「わらべうた&コダーイ・メソッド入門」で、長年にわたって保育者の指 導や児童合唱にたずさわってこられた田中厚子氏が講師を務められました。就学前教育 では原則的に文字や記号等を使用しませんので、保育者は指揮者のように子どもの前に 立ち歌って身体で表現し、それを子どもは得て音楽を体験していきます。講師は保育者 のもつ教育者としての姿勢や音楽の表し方をきめ細やかにていねいに凛とした姿勢を保 ちながら参加者に伝えていることが印象的でした。 第 2 分科会は「学校教育におけるコダーイ・アプローチ」で、尾見敦子氏がコダーイ 音楽教育研究会のメンバーをまとめられ企画された内容で進められました。会代表の尾 見氏を含め 6 名の方の報告がありました。小学校、中学、大学の教員養成の授業実践、 小中学校の教材展開と、メインテーマの「これから」の出発になる分科会でした。
第 3 分科会は『児童や大人の合唱団の指揮者にとっての「移動ド」の意義』で、リス ト音楽院で合唱指揮科を卒業され全国各地で講習会講師を務められている陣内直氏を講 師に進められました。この分科会は名称にあるようにコダーイ・メソッドの主要な指導 法である「移動ド」をどのように展開するか、また、「指揮者にとって」とあるように専 門をめざす方を対象とするものでした。音階の音の関係や流れを解明しながらさまざま な合唱曲を歌うなかで「移動ド」「ハンドサイン」を学ぶものでした。会場は他の分科会 と異なりチャペルのような雰囲気があり、照明がひかえられて、分科会を覘くたびに参 加者の熱中度に感銘を覚えました。
24 日は分科会後に総会が開催され、その後、国立音楽大学室内合唱団「KammerChor」 によるコンサートが開催され、バロックからコダーイまでの作品が演奏されました。 コンサート後は懇親会がもたれ、途中、国内外で活躍されているハンガリーダンスの 団体「踊り部」による踊りが紹介されました。最後には参加者全員でハンガリーダンス を楽しみ、こうして初日は夜遅くまで音楽文化を堪能し終了しました。
25 日午前も引き続き分科会が開かれ、延べ 5 時間の分科会が終了しました。 大会終了の部では各分科会の報告があり、参加者全員の合唱で締めくくられ、来年の 開催地九州の担当者が紹介され、バトンタッチされました。
今大会では、国立音楽大学の全面的な協力とご支援、そして国立音楽大学教授であり 本協会会員でもある山本幸正氏の多大な協力のもとに開催されました。感謝を申し添え ます。 皆さま、来年は大分でお会いすることを楽しみにしています。
第1分科会「わらべうた&コダーイ・メソッド入門」
全体会 発表 第1分科会
第2分科会「学校教育におけるコダーイ・アプローチ」
全体会 発表 第2分科会
第3分科会 「児童や大人の合唱団の指揮者にとっての移動ドの意義」
まとめの会 全体合唱
国立音楽大学室内合唱団「KammerChor」演奏会
懇親会にて
中村明美氏 臼木恵二氏ご夫妻 中村隆夫会長 踊り部の皆さん
踊り部の皆さんによる ハンガリーダンス
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